俺達は大学生、仲良し五人組。男3の女2、恋愛感情はかなり微妙なところ。この人数の場合、普通なら安易にフルハウスとか表現するところだけど、俺達も自分達のこと、そう言ってるんだぜ。そして、テレビの『フルハウス』とも、あったかみがあってにぎやかで幸せな関係、みたいな意味でかかってるんだぜ。自慢じゃないけど、俺、キャンパスライフみたいなものは謳歌している方だって断言できる。本当に大学生って楽しいんだ。サークルだって当然掛け持ち、テストの情報は先輩から入ってくるし、大教室では固まって座るんだぜ。バイトも頑張って大変だけど、でも、すげえ、すんげえ充実してるって感じ、するんだ。人生は出会い、本当にそう思うんだ。 そんな俺達仲良しフルハウス五人組は、梅雨入り前の空いてる平日を利用して、山へキャンプに来たんだ。平日に遊びに行くのは、大学生の醍醐味だぜ。その分の授業はさぼっちゃったけど、それより大事なものがあ
太ったメガネのおばさんが入ってきて、小さな教室のホワイトボードの前に立った。 「さあ、あんた達、今日もレッスン始めるわよ。根暗なんでしょ。人前で喋れるようになりたいんでしょ。そのためにお金払ってるんだから、精一杯やんなさいよ。口を動かしていきなさいよ。じゃあいつものように、発声練習いくよ。『死ねボケナス』からね」 「あ、あの……」おずおずと手を上げたのは、今日からこの教室に入った喉元さんだった。「私……初めて…なんですけど……」 「初めてだからなによ」太ったおばさんは赤い三角形のメガネをしていたが、それを外して目頭を押さえた。 「説明を……」 「じゃあ最初から、私初めてなんですけど説明を、って言えばいいじゃないの。何で区切るのよ。ベしゃりをリボ払いにしてどうすんの。何考えてんの。一人でエレベーターに乗ってる時とか何考えてんの。なんでちょっと上を見んの。あの、階数の、あれを見てんの?」 喉元
今週もまた、五年二組に音楽の時間がやってきた。 音楽の波動キミ子先生は、ピアノを囲んで丸く置かれた椅子に座ったぼくたちをなめ回すように見た。そして、持ったフルートを片方の手の平に軽く叩きつけて歩き回りながら、 「お前ら今週もノコノコと音楽室までやって来たな、おい」 と言った。 「よろしくお願いします!」 ぼくたちは大きな声で言った。 「ぴーちくぱーちくうるせえよ、とっととリコーダーを持て」 ぼくたちは慌ててリコーダーを取り出した。そして、怒られないうちに両手で構えた。その時だった。 「や、山本君! まさか、リコーダーを……」 湯沢の声が聞こえた。ぼくたちはいっせいに山本君の方を見た。山本君はもはや諦めたか、椅子からずり落ち気味のさっぱりした表情で、 「やっちゃったよ」 と言った。そしてどんどんずり落ちていき、とうとう、首だけで椅子に座っている状態になった。 「山本君、諦めるのはまだ早いよ!
迷えるビーバーの歌 ぼくビーバー どうしたってビーバー 外では何が起こってる 巣にしみこんだ雨が 元々濡れてる毛を湿らせるこんな日に 噛み砕いた木々が歯茎に刺さるのに それでも前歯伸び続けるのか 危険を知らせる時はしっぽで水面を叩くから 耳は澄ませておけなんて父さんは言うけれど ほら今日もせっせとダム作ってる 水せき止めてご満悦のぼくらがいるよ 夜行の性が疼いて月夜にそっと巣を抜け出しても 会うのはビーバービーバーばかり ぼくビーバー デイドリームビリーバー ダムと巣は実は一緒なんだ ダムガス スガダム 森では今日もウサギが殺された 大自然のアラスカでもいやなことぐらいある。ぼくはその日、とてもイライラしていたんだった。とは言ってもその日が特別だったわけじゃない。ぼくは毎日、色々なことにうんざりしていた。あんな薄暗い巣の中にいればなおさらだ。 ぼくは、外に遊びに行こうとしたところを父さんに
ハルマゲドン前に天上へ:残された人々にメッセージを送るサービス 2008年6月12日 社会 コメント: トラックバック (0) Kevin Poulsen Photo: Marcn/Flickr ハルマゲドンが起こる前触れとして、何百万ものキリスト教徒が突然この地球上から姿を消したら、無信仰な人たちの多くは、とんでもないことになったと大騒ぎするだけで手一杯で、電子メールをチェックする余裕などないだろうと、ワイアードブログ『Threat Level』では考えている。しかし、開設されたばかりのサイト『YouveBeenLeftBehind.com』のおかげで、ログインさえすれば、いなくなった友人や愛する人たちからのメッセージを受け取ることができるはずだ。 このサイトの利用者たちは、年会費わずか40ドルを支払えば、最高62人まで、携挙(Rapture)のちょうど6日後に、最後のメッセージを送るよ
2006.07.05 中田英寿の文体 (22) テーマ:サッカーあれこれ(19719) カテゴリ:その他 中田英寿選手の引退メッセージを読む。 彼のHPを見るのはこれが初めてである。一読して、これほど整った文章の書き手だったのかということに少なからぬ驚きを覚えた。 この文章の書き手は「音」や「響き」を意識しながら文章を書いている。文字や単語の数、文章のバランス、センテンスとセンテンスの間の間合いや呼吸に無神経な人間はこのような文章を書くことができない。 きわめて強い意志力とある種の強固な美意識の持ち主であることが文章の端々からうかがえる。 もちろんこの文章にまったく問題がないわけではない。「思わず使いたくなる便利なことば」に対してもう少し自制心を働かせることができれば、彼は自分の内面にさらに一歩近づくことばを手にすることができただろう。 ほんの少しだけヒロイックな言い回しを好み、その言い回
2008.03.03 大江健三郎v.s.伊集院光1 (11) カテゴリ:その他 日曜の午後、マンションの排水管の点検のため、自宅で過ごす。この時間帯には外に出ていることが多いので、手持ちぶたさんとどうつきあったらいいか、よくわからない。しかたなくラジオのスイッチをひねる。 TBSラジオの伊集院光の番組が流れている。ゲストを迎えてのクイズ・コーナーだ。ゲストが何十年も前に受けた雑誌や新聞のインタビュー記事をもとに、その時の答を覚えているかどうかを試すという、まあ、たわいのないおちゃらけコーナーである。 私はベランダの「ひめうつぎ」や「るりまつり」の枯れ枝をはさみでぱちんぱちんと切りながら、それを聞くともなく聞いている。 コーナーが始まる。女性アナウンサーがゲストを紹介する。「本日のゲストは大江健三郎さんです」。 うん?大江健三郎?「伊集院光の日曜日の秘密基地」のゲストが大江健三郎?はて、面妖
Objects From This Artifact: - Christmas In Purgatory, Cover (still) - Christmas In Purgatory, Page 2 (still) - Christmas In Purgatory, Page 3 (still) - Christmas In Purgatory, Page 4 (still) - Christmas In Purgatory, Page 5 (still) - Christmas In Purgatory, Page 6 (still) - Christmas In Purgatory, Page 7 (still) - Christmas In Purgatory, Page 8 (still) - Christmas In Purgatory, Page 9 (still) - Ch
長いので、興味ない人は1行くらいでスルーしてください。 「疎外論」批判というのが一部でちょっと盛り上がっていたみたいですが。 なぜ「疎外論」という発想が生まれたのかと言えば、それはたぶん、他人を説得する時にそういう方法しか思いつかなかったからじゃないかと思います。「本来の人間の姿」と「本来的じゃない現在の人間の姿」とを対比させて、その差異を見せ付けることで「ほら、現在はこのような問題があるんだから」と問題のありかを指し示すというのは、他人に自分の意見を示す上でも非常にわかりやすくなりますし。 じゃあ逆に、疎外論抜きで「私は社会に対してこのような問題意識を持っている」ことを指し示すとしたら、どうなるでしょうか。 「見ろ、このような社会のあり方は問題だ」 「なんで? 人間の生活はあるようにある、ただそれだけじゃん」 「なんでだよ、こんな社会のあり方は人間にとって生き難いだろうに」 「生き難いっ
このドメインは お名前.com から取得されました。 お名前.com は GMOインターネット(株) が運営する国内シェアNo.1のドメイン登録サービスです。 ※1 「国内シェア」は、ICANN(インターネットのドメイン名などの資源を管理する非営利団体)の公表数値をもとに集計。gTLDが集計の対象。 ※1 日本のドメイン登録業者(レジストラ)(「ICANNがレジストラとして認定した企業」一覧(InterNIC提供)内に「Japan」の記載があるもの)を対象。 ※1 レジストラ「GMO Internet, Inc. d/b/a Onamae.com」のシェア値を集計。 ※1 2020年8月時点の調査。
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