捜査弁護をどうみるか ■捜査弁護をどうみるか(1) ー神戸新聞1998年12月10日朝刊(共同通信配信)より 国民は、警察の厳しい取調べで被疑者を追及し自白を得て事件が解決する運用を長い間みてきた。今回の事件で、「弁護人がいる、被疑者が黙秘する」事態に違和感を覚えるのは「未知との遭遇(そうぐう)」のためだ。自白がなければ「動機」や犯行の詳細、共犯関係を明らかにしにくいのは事実。が、密室で自白を迫る取調べが、虚偽自白とえん罪を生むことは国民も周知のこと。それを防ぐ安全弁が弁護人の防御活動だ。 五〇年前、憲法と刑事訴訟法は、捜査段階から被疑者が弁護人の援助を受ける権利を定めた。が、このシステムが本格的に動き始めたのは、九〇年代に「当番弁護士」制度が定着してからのこと。「捜査段階の弁護」を国民が見るようになったのはごく最近のことなのだ。今回の事件では、国民が「適正防御なくして厳正処罰な