この本はあくまでも調査結果から腐女子の現実を明らかにしようとしている。フェミニズム系の社会学は、腐女子を「男性社会の被害者である女性」として捉えようとする。腐女子を特別扱いし悲劇のヒロインの夢を見せていたと言っても良いだろう。しかしこの本は腐女子の現実を客観的な調査結果により明らかにしている。腐女子やオタクに対するステレオタイプを調査結果から否定すると同時に、特別扱いもしない。この社会に生きる様々な価値観を持つ人たちの一つとしてフラットに扱う。本書の著者は心情的にはサブカル寄りで、文化的権威主義者や文化的全体主義者を敵視している。しかし、腐女子を悲劇のヒロインの位置に甘やかそうともしない。あくまでも現実を明らかにし、もっと楽しく生きたければ身近なところから現実を変えろと言う。 フェミニズム系社会学の腐女子論に浸って悲劇のヒロインの夢を見ていた腐女子たちには、許せない本になるだろう。現実を直