2015年の世界文化遺産登録を目指し政府の推薦が決まった「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域(産業革命遺産)」に含まれる長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)。世界遺産登録に向けて国の文化財指定を受けることが最初のハードルとなり「現状維持」が求められる。しかし島の高層住居などは劣化が進み、このままでは朽ち果てる運命をたどりかねない。市は保護に乗り出す構えだが、財政負担が大きな課題となっている。【小畑英介】 【写真ずらり】「産業革命遺産」の構成資産 かつて世界最大級の人口密度を誇った島。長崎市の長崎港から高速船で1時間足らず。10月1日、長崎市議会の視察に同行し、ベルトコンベヤー跡などがある採炭施設や、通常は立ち入りが禁止されている居住区域に入った。 1974年の閉山から約40年となった今、多くの建物が赤茶けた鉄筋をむき出しにしていた。旧端島小中学校は基礎部分を海水が浸食し