だいぶ前に某誌から「人生の中で一度は読みたい未読の本」というアンケートが送られてきた。 なかなか面白い趣向のアンケートである。 「読まねばならぬ」と思いつつ、どうしても手に取ることや読み通すことのできなかった本のリストを示していただけると、その人の隠された心的傾向がうかがえるやもしれぬ。 どのような回答が寄せられるのだろうかと楽しみにしていた。 私の回答は中里介山の『大菩薩峠』。 白井喬二の『富士に立つ影』と並ぶ「めちゃめちゃ長い時代小説」の双璧であり、途中から主人公の机竜之助がどこかに消えてしまって、別人が主人公になるという構成上の破綻もものかは先般亡くなられた今村仁司先生が強く推奨していたので、いつかは読まねばと思っていた。 一巻の途中で挫折したままである。 それについてこんな文章を寄せた。 一生に一度は読んでみたいと思いつつ読んでいない本」という企画は、やってみたらあまり個性的なセレ