『流れる』あらすじ 芸者置屋「蔦の家」の住み込み女中となった梨花。もともとは「しろうと」の奥様だった彼女は、置屋での暮らしで「くろうと」である彼女たちの暮らしに驚きつつも勤め始める。 その家の主人は名妓だったが、揉め事が耐えない。勤めて早々、前にいた芸者の叔父という男から揺すりをうけるのだった。 映画との相違点 私は成瀬巳喜男の映画『流れる』を見てから原作を読みました。 あらすじや設定は映画とほぼ同じですが、原作では登場人物たちが一癖も二癖もあるキャラクターとして描かれています。 映画では梨花は従順でおだやかな元奥様の女中でしたが(映画では田中絹代が演じていました。)、原作では従順な表面の下に辛辣な観察眼と批評精神が宿っていたのです。 そのほかにも、主人の娘の勝代が不器量だったり、姪の不二子がわがままだったりと、映画と真逆なのには驚きました。