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ブックマーク / 1day.hatenablog.jp (4)

  • 色えんぴつ - 一日

    2014-11-07 色えんぴつ 世の中の人間を種類別に色分けるとする、そうしたら確実に自分たちは同じ色で塗りつぶせる、とあなたはわたしに言った。社会の授業で地図に色塗ったよね、あんな風に。 それはいったい何色なのかと尋ねると何色でもいいんだよとにかく同じ色、とにかく他とは違う色なんだと答える。わたしは色えんぴつで赤や緑に塗られた大陸に挟まれた、うす水色のちいさな島を想像してみた。うす水色はわたしの好きな色で、わたしよりあなたによく似合う。 学校という世界の中に教室という小さな世界があって、その小さな世界の中にもうひとつ小さい、わたしとあなたの世界があった。その世界の中でわたしとあなたは実によく遊んだ。花火を見た。海を見た。自転車をふたり乗りして遠くの空港に行って、飛行機を見た。金網越しに滑走路を眺めながら、行きたい国を言い合った。お互いたくさんあり過ぎて、なかなか話が終わらなかった。 ペ

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    hmsugimoto0301 2014/11/07
    名作です!
  • やわらかく - 一日

    2014-09-11 やわらかく 公園の砂場で遊んでいるときに、これなあに、と子どもがつまみ上げたものは死んだ雀で、この子は普段虫にも触れないのに雀の死骸には触るのかと驚いてそれから、ああそうかまだ死がなんなのかよくわかっていないのかもしれないなとも思い、埋めてあげようねと言いました。 躑躅の木のしたに穴を掘るあいだ、神妙な顔で手を合わせていたところをみるとわかっているようでもあり、土をかけながら「雀さん元気になる?」と尋ねてくるところをみるとやっぱりわかっていないようで、元気にならないよ身体がだんだん腐っていって骨だけになるんだよ、と答えるとまた両手を合わせていました。手のひらにのせた雀のやわらかくたよりない軽さを思い出しながら、爪に入りこんだ土を気にしながら、あの躑躅は春には何色の花が咲くのだろうかとどうでもよいことを考えながら家に帰る途中、子どもがまた「雀はどうなるの?」と尋ねるの

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    hmsugimoto0301 2014/09/11
    私ならどう説明するかな?と考えさせられました。
  • あめふり - 一日

    2014-08-23 あめふり めざめたときから雨ふりの土曜日は、生ま れて三年のひとには退屈極まりないようで 絵もあらかた読みつくし、怪獣になって ふとんの山を破壊してもまだ疲れを見せず 外に行きたがるのをなんとか宥めてお昼寝 に誘いますおなかにタオルケットをかけて目を閉じる よう促しても、三歳のひとは少しも眠たく ならぬらしく、お話してしてとねだるので しかたなく枕の上に指を二置いてお話の はじまりです 左手の、中指が左足で人差し指が右足の小 さなひとはどこにでも行けるのです 月の上を歩いたり南の島の王さまに拝謁し たり虹をべたり亀と戦ったりするのですやわらかく降る雨の音はざあざあではなく さあさあと聞こえます さあさあ寝なさい、お話はそのぐらいにね そんな風に隣の部屋から見ていた三歳のひとの父親は よくそんな口からでまかせを次々に言える なあ

    hmsugimoto0301
    hmsugimoto0301 2014/08/29
    優しい気持ちになれる文章に癒されました。
  • まわる - 一日

    2014-08-07 まわる 「HEP FIVEは大阪梅田の複合施設、ビルの屋上の赤い観覧車が目印」と観光用のガイドブックを読み上げると、その人は今から乗りにいこうと言って私の返事を待たずにせかせか歩いて行ってしまった。まぁあんなもん観光客しか乗らないけどね、と馬鹿にしたように言うからわざと「私ハ観光客デスカラ」と平板な声で答えてやると困った顔をする。数歩あとをついて行きながらヘップファイブってへんな名前、ヘップだってヘップゥ、と殊更にふざけながら何度も言った。あと数時間後には私は新幹線で博多まで帰るから、なにかしら喋っていないとたぶん泣く。 友だちだった頃には近くにいたのに恋人になった途端に住まいが離れてしまうというのは、もしかしたらご縁が無いのかもね。なんてことは話せないし、だからやっぱりヘップヘップとふざけながら歩いていく。HEP FIVEは名前もへんだし、遠くから見るとビルとビル

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    hmsugimoto0301 2014/08/08
    旦那さんと遠距離してた頃を思い出しました。キュン♪
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