超高層のオフィスビルやマンションが次々と建てられる現在、果たしてエレベーターの待ち時間が「ゼロ」となる日が来るのか。エレベーター製造の国内トップシェアを誇る三菱電機を訪ねて、エレベーターの今と未来を探る。後編は人の流れを先読みする運行技術の進化に迫る。 感じる待時間の長さは実際の二乗 1964年、三菱電機のエレベーター・エスカレーターの専門工場として愛知県稲沢市に設立された稲沢製作所では、現在、製造と並行して最新のエレベーター技術の研究開発が行われている。近くまで来ると、いやでも視界に飛び込んでくるのが約40階建てのビルに相当する高さ173mの試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」だ。ひときわ高くそびえるその“姿”を下から見上げれば、ここが同社エレベーター開発の中枢であることが一目瞭然である。