「既存の支配層を切り崩し、自助努力を重視する体制作りへの第一歩。おじいさんたちが、昭和の日本を再興させようとしているようです」。日本学術会議の任命拒否問題について、経済学者で東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授(57)は、イギリスのサッチャー政権を思い起こすという。サッチャー政権を鋭く批判したロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの森嶋通夫名誉教授にも師事した安冨教授に詳しく聞いた。【大迫麻記子/統合デジタル取材センター】 「任命拒否の理由を言わないのは狡猾な作戦」 ――今回の任命拒否をどう見ますか。 ◆そもそも学術会議に推薦されるような先生方は、みなちゃんとした方ばかりで、私のような過激な人はいません。その人々を拒否するというのは、実に過激な行動と言わざるを得ませんね。 2016年にも欠員の補充人事で拒否をしていたようですが、政府が任命拒否の理由を言わないのは狡猾(こうかつ)な作戦。そうす