社会学者 開沼 博 3月11日から1年が経とうとしています。 地震、津波、原発事故。その衝撃はあまりに大きなものでした。震災直後、「これは日本にとって第二次世界大戦以来の転換点となる」「日本はもはや3・11以前の姿には戻ることはできない」「これで日本は大きく変わる、変わらなければならない」‥言葉は違えども、様々な識者が「変化」を望み、あるいは予言しました。 しかし、実際に1年経ってみて冷静に振り返った時、何が「変化」し、一方で、何が「変化」しなかったのでしょうか。 震災以前から、福島を、あるいは原発と日本社会を見続けて来た者としてここ1年間で言い続けてきたのは「震災を経ても、その根底にあるものは何も変わってはいない」ということです。 もちろん、物理的に多くの物が壊れ、放射性物質が撒き散らされてしまった異常な事態が生まれ、目に見える状況は大きく変わりました。それなのに「何も変わって