ムントが見るものにまず与える印象はその驚くべき鈍重さだが、それを超えてはっきりと退屈だと思えてくるのはイメージカットの陳腐さとモチーフの進行があまりにも強調されすぎているせいだろう。ドラマの中で進行する主題、登場人物たちの背負うイマージュがあまりにも露骨に画面の中で展開されていく。彼ら彼女らが登場人物という域を超えてイマージュと同化しつつあるといってもいいほどに。今のところその同化はユメミとムント、スズメとカズヤの対比に現れる。物語の重力は現実界?側でのスズメとカズヤの結婚といういささか強引な言葉に表象されているが、これは言うまでもなく後のユメミとムントの異世界人間の聖婚のイメージを物語に召喚するためであろう。少しだけ踏み込もう。ムントが文学なのはスズメとカズヤの結婚、その婚礼の儀式においてこそあの二人は文学なのである。川を二人で渡りきろうとする、その行為そのものが文学なのである。 ここで