「桶買い・桶売り」は安定供給のために始まった酒蔵が造った酒を別の酒蔵に販売する「桶買い・桶売り」。買い取った酒は、そのまま瓶詰めして売られる場合もあれば、剣菱酒造のように自社の他の酒とブレンドして商品化される場合もあります。 白樫さんによると、桶買い・桶売りが始まったのは江戸時代のこと。 「桶買い・桶売りは、有名な銘柄を造る酒蔵が、生産量を増やす手段として生まれました。自社で新しい蔵を建てるのは、火事や品質管理、資金や不動産などの面でリスクがあります。それに比べると、規模の小さな酒蔵に『うちの酒を造ってほしい』と頼むほうがやりやすかったんです」 さらに、1937年に食料米確保の観点から、1蔵あたりの日本酒の生産量に上限が設けられたことも、桶買い・桶売りの増加につながったといいます。 「造る量を増やさないという選択肢もありましたが、需要に供給が追いつかないと、市場でプレミア価格がついてしまい