もう飛ぶことはない――。宇宙飛行士の土井隆雄さん(54)は8日、宇宙航空研究開発機構の東京事務所で会見し、24年間務めた宇宙飛行士の引退を表明した。宇宙飛行士は一般名称のため、肩書は残るが、引退表明した日本人飛行士は土井さんが初めて。 土井さんは「多くの仲間からサポートを受け、宇宙に行き、国際宇宙ステーションの日本実験棟『きぼう』建設にも携われた。夢はすべて果たせた。満足しています」と笑顔を見せた。土井さんは85年、毛利衛さん、向井千秋さんとともに宇宙飛行士に選ばれた。97年には日本人初の船外活動をした。昨春の2度目の宇宙飛行では、「きぼう」建設に着手した。 土井さんは、9月からは国連宇宙部の宇宙応用課長に就くことが決まっている。今後について土井さんは「宇宙の魅力を世界に広め、平和のための活動に取り組みたい」と語った。(東山正宜)