日本映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 タバコ――その意味するものは何だろうか。 無思慮、無学、貧困、粗暴、不幸……。タバコはこれらの象徴だ。 タバコを吸う人はこういう人であり、タバコを吸う場面はその人がこのような状態にあると伝えている。明らかに欧米の映画は、登場人物を特徴付ける印としてタバコを使用している。 だが邦画では、しばしば無頓着にタバコを吸う場面がある。待ち合わせの場面や酒を飲む場面で、あまり深い意味もなく登場人物がタバコを吸うのだ。 そこには、登場人物が何かしていないと画面が持たないから、という消極的な意味しかない。あるいは作り手が無学、無思慮で、しかもそのことに気づいていないのかもしれない。 『その夜の侍』は、タバコの意味をハッキリ意識して撮られた映画だ。