大学病院に入局した昔、田舎の電源事情は妙に悪くて、停電は日常だった。雷が落ちると病棟の電気が消えて、エレベーターに看護師さんが閉じ込められたり、大学のインフラは案外貧弱だったのだけれど、業務はあまり止まらなかった。非常用発電機の音を聞きながら、暗い病棟に殴り書きの伝票を持った研修医が走り回って、走らされるほうも、受け取るほうも、いい加減なシステムを回すのはきっと大変だったのだろうけれど。 きっちりやると脆くなる 震災直後の停電で、近隣の基幹病院は、病院の機能全てがダウンした。 電子カルテや画像診断装置が動かなくなるのはもちろん、薬剤を処方しようにもオーダーは出せないし、記録を残そうにもPCが動かない。救急外来の機能は止まって、救急車を受けることはもちろんできなくなって、調理室が上の階にあったから、入院患者さんに食事を配膳するのも大変だったのだと。 新しい施設は電子化が行き届いていて、動線は