「なあ、日本でカート・コバーンにあたる人物って誰なんだろうね」 友人は唐突にこんな質問を僕に投げかけてきた。カートが亡くなってから20年以上が過ぎたある日の昼下がり、僕たち二人は喫茶店でコーヒー片手に大好きなニルヴァーナについて話していた。友人の質問にしばらく考え、コーヒーを一口飲んでこう呟いた。 「小沢健二じゃない?」 「それは違う気がするな。だって、小沢健二のキラキラと光るポップソングとグランジと呼ばれた轟音とノイズにまみれたカート・コバーンのサウンドでは全く正反対じゃん」と友人は笑いながらと言った。確かに、彼の言葉にも一理あるとは思うし、友人のように考える音楽ファンも多いと思う。しかし、それでも僕にはどうしても小沢健二はカートの生まれ変わりのようにしか思えないのだ。 もちろん感覚で言ってる訳ではなく、いくつか理由はある。例えばファッション。カートといえば、擦り切れたネルシャツに穴の開