●DTP専用の本格派ゴシック体、ついに登場 DTPの普及につれ、パーソナルコンピュータで使う書体への要求が次第に高まっていきました。その背景として2点が挙げられます。 それまでの金属活字や写植では、原理上どうしても印字の際に輪郭が丸みを帯びるものでした。 しかし、DTPで使用されるデジタルフォントは、文字の発生から印刷までに経る物理的な過程が少なく、商業印刷では書体の形状をほぼそのまま再現できるため、特にゴシック体の場合、角張ってとげとげしい輪郭に違和感を感じることがありました。 もうひとつは、書体そのものに対する不満でした。 DTP普及の初期から、写植機専用書体だったものをDTP用デジタルフォントに移植して販売されてきました。 DTP用にデジタルフォント化された写植書体は、それまで使われてきた写植メーカー最大手「写研」のものではなく、写研書体が持つ上品で柔らかくやさしい印象とは異なる性質