4世紀末,キリスト教徒が増加するアレクサンドリアで,大図書館(ムセイオン)が破壊され,科学が殺されていく経過を描いた作品……と書くと作品評としてダメだと思う。正確にはこうである。キリスト教徒が増加するアレクサンドリアで,古典古代の宗教が破壊されていく過程を描き,ついでに古代の科学も破壊される作品。これは実は見事で,単純な宗教VS科学にしなかったところは好感が持てる。 これに伴って,本作の悪役は言うまでもなくヴァンダリズムにいそしむキリスト教徒なのだが,一方的な悪役にしないことに注意が払われている。そもそもキリスト教が広まったのは古代ローマ社会の貧困層や奴隷から支持を集めた点であることが冒頭で描写される。しかも,大図書館が破壊される直接の契機となった乱闘は,多神教徒の側からの不意打ちである。多神教徒(裕福な層である)は,自分たちのほうが多数派であると勘違いしていた。だから,マジョリティの暴力
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