世界的な賢人12人のインタビュー・論考をまとめた『ウクライナの未来 プーチンの運命』が話題だ。「人は想像を超える事態を目にすると、しばしば思考停止に陥るが、目を背けてはならない。考え続けなければならない。賢人たちの言葉は、私たちにより深い視座を与えてくれるはずだ」と編集を担当したクーリエ・ジャポン編集部は言う。同書より、「プーチンという怪物を倒さなければならない」と主張して注目された、現代ロシアを代表する作家ソローキンの特別寄稿を一部公開する──。(第2回/全2回) ※本稿は、クーリエ・ジャポン編『ウクライナの未来 プーチンの運命』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。 無慈悲な怪物 2022年2月24日、プーチンが長年、身にまとっていた「賢明な独裁者」の化けの皮が剥はがれた。世界はこの日、妄想にとらわれた無慈悲な怪物を見たのだ。 この怪物は絶対的な権力と帝国主義的な攻撃性および敵