2015年のカンヌ国際映画祭でヴァンサン・ランドンに男優賞の栄冠をもたらした『ティエリー・トグルドーの憂鬱』がまもなく公開されます。『母の身終い』などで知られるヴァンサン・ランドンは、コメディからシリアスな作品まで幅広くこなすフランスを代表する名優。 今回ランドンが演じるのは失業中の51歳の中年。障害を持った息子と妻を養っていかなければいけないが希望の職にはつけず、やっとの思いで得た仕事はスーパーマーケットの監視員。自らも厳しい境遇にあるティエリーですが、スーパーで貧しい人々が起こす万引きなどを監視する立場に。淡々と仕事をこなしながらも自分と似たような境遇の人々を追い詰める立場に、次第にティエリーは苦しみを憶えるようになります。 そんなどこにでもいそうな男の苦しみをセリフも少なく、抑制された演技で体現したランドンはカンヌ国際映画祭男優賞とセザール賞主演男優賞を受賞しています。そんな彼の芝居