日常的に「殺す」と脅し、暴力を振るうDV(ドメスティック・バイオレンス)夫から、女性は命がけで逃げ出した。逃避行の最中、別の男性との間に授かった娘は無戸籍にならざるを得なかった。夫との婚姻が継続中にできた子供は、民法の規定「嫡出推定」により夫の子となるため、出生届が出せなかったのだ。その後、出生届の受理や無戸籍の解消を裁判所などに訴え続けたが、「夫の証言が必要」と言われ、断念に追い込まれた。結局、無戸籍状態が解消できたのは夫の死後。娘が生まれて実に30年以上が経過していた。「もし、あのとき、親子関係を法的に否定する『嫡出否認の訴え』を妻の側でも起こすことができたなら」。女性は8月、訴えを起こすことを夫にしか認めていない民法の規定は憲法違反だとして、国に損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。 「別れるなら、必ず殺す」訴えを起こしたのは神戸市内の60代女性。訴状や女性によると、昭和50年ご