いまから2年半ほど前の平成25年8月、横浜市で自転車のサドル3個を盗んだ男が逮捕された。そして男の部屋からは、どれも女性向けと思われる自転車のサドルがなんと200個も見つかった。さらに警察の取り調べに対し、男が「女性が座ったサドルの皮の質感や匂いが好きで、なめたり嗅いだりしていた」と供述したものだから、新聞、雑誌、テレビでいっせいに大きく報じられたのだった。彼は「サドルフェチ男」と命名され、スキャンダラスに扱れたから、いまも事件を覚えている人はいるかもしれない。だがその後、男の処分がどうなったかなど、続報はいっさいなかった。 新潮45の4月号で、写真家で著述活動も行うインベカヲリ★氏が、その後のサドル事件の意外な展開をレポートしている。それが「サドル窃盗男が起こした『私は変態じゃない』裁判」という記事である。タイトルからわかるように、男は裁判を起こしていた。それは神奈川県(神奈川県警)と