「安倍家」「岸家」という名門政治家血族の取材を40年以上にわたって続けてきた政治ジャーナリスト・野上忠興氏が『週刊ポスト』でレポートしている安倍晋三首相に関するノンフィクション。安倍首相の「就職」にはいったいどんな背景があったのかを解説する。これは、米国留学から帰ってきたばかりの時の安倍氏の状況だ。(文中敬称略) * * * 帰国した安倍には、「就職」という人生の岐路が待っていた。 当時、農林大臣や官房長官を歴任し飛ぶ鳥を落とす勢いだった大物政治家・晋太郎の息子とあって、企業からは引く手あまただった。 晋太郎は山口県人が経営する中堅商社で社会経験を──と考えていたが、最終的には地元・下関に長府製造所を置く神戸製鋼所に入社する。 安倍の3年7か月のサラリーマン生活をお膳立てしたのは、岸(信介・元首相=安倍の祖父)にも仕えた古参秘書Aだ。これには選挙区事情が絡んでいた。 中選挙区制時代、晋太郎
![安倍晋三首相 神戸製鋼入社は秘書の「政略就職」作戦だった](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/da5af53612c6801d3a09ab65be95861e5e4b312a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.news-postseven.com%2Fwp-content%2Fthemes%2Fnps2020_2_pc%2Fimages%2Fnps750X500.jpg)