国際宇宙ステーション(ISS)に米東部時間5日午後、中国が2007年に行った衛星破壊実験で発生した破片が約6キロまで接近した。ISS滞在中の乗組員3人は無事だったが、一時は緊急脱出用のロシア・ソユーズ宇宙船への避難が検討された。同実験で生じた約3千個の破片への懸念が現実になった格好だ。 弾道ミサイルで破壊された気象衛星「風雲1C」の破片で、AP通信によると大きさ約15センチ。大きい破片などの宇宙ごみ(デブリ)は発生時から追跡されており、接近がわかったときISSは軌道を変更して避けるが、今回は時間的余裕がなかった。 米航空宇宙局(NASA)によると、実際に乗組員が緊急避難することはまれだ。また風雲1Cの破片は、過去にもISSに接近したことがある。 中国の衛星破壊実験に対し、米国や欧州は「宇宙軍拡につながる」と強く非難していた。(ワシントン=勝田敏彦)