一匹狼といえば聞こえがいいが、ただの部下無しのひとり営業課長なので比較的自由に行動が出来る。その自由を活かして営業活動中、時間が空いたとき、折を見て実家の様子を覗きに行っている。僕のマンションから車で30分もかからないところにある実家で70才になる母親はひとり暮らしをしている。超高齢化社会を迎えているせいか、最近、一人暮らしのお年寄りを狙った犯罪のニュースを見かけるようになった。そんなニュースを見るたびに僕は不安でたまらなくなる。母親は、幸いなことに持病もなく健康だが年齢も年齢、万が一が今日明日にでもやってくるかもしれない。僕がたびたび実家に立ち寄るようにしているのは母親が心配だからであり、自分の不安を緩和するためでもある。 四六時中見守ることは不可能なので、万が一のときや不測の事態には間に合わないだろうことはわかっている。警備会社と契約もしているけど万全ではないだろう。この世界に完璧なも
「政府通知」 それが来ると僕らは、「恋愛禁止」になり国が決めた相手と結婚しなければならない。 夫婦として選ばれた男女両者が満16歳になったら“将来の結婚相手”が国から通知されるんだ。もうすぐ僕もその年齢になる。 人物紹介:根島由佳吏(ねじまゆかり) 高校一年生。通称:ネジ。高崎美咲のことを好きだが、ずっと伝えられなかった。しかし、政府通知が来る16歳の誕生日を目前にして美咲に告白することを決意する。 「でも、高崎さんはたしか4月生まれ…明日にでも通知が来てもおかしくないんだ。もう時間がない」 ・ ・ ・ 「高崎さんッ!」 「僕、小学校の時、同じクラスだったんだけど…」 「…え、そうだったっけ?」 (やっぱり…覚えてないか…) 「今日の6時、小学校裏の公園でッ!」 「待ってるから来て欲しいッ!」 「……」 ・ ・ ・ 「高崎さん…遅いな…どうしたんだろう」 「やっぱり…来ないか…」 「あの…
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く