再春館製薬所の基礎化粧品「ドモホルンリンクル」が生まれたのは、1974年。 82年にテレマーケティングシステムを導入して以来、売上高は24年間で60倍に成長した。 今も同社の売上高242億8500万円の約9割を、「ドモホルンリンクル」7商品が占める。 同社の顧客満足追求を支えるユニークなコミュニケーションの仕組みと商品改良の秘密に迫る。 それは1993年6月の“ある事件”がきっかけだった。 「明日から3カ月間、一切のアウトバウンド(電話セールス)を中止します」― 社長(現会長)の西川通子の決断に、居並ぶ経営幹部が驚いたのは無理もない。93年当時、再春館製薬所の売上高の7〜8割は、顧客へのアウトバウンドによるもの。 西川が決断するに至ったのは、うず高く積もった返品の山。集計してみるとその額は約7000万円分。購入後に「やはり不要」と考えた一部顧客からの返品だった。 82年に西川