貧しい農村の暮らしから脱却するために金峰国軍に入ったヤウダ・ウェンは、自由市場主義と腐敗政治の一掃を求めて広場を占拠するデモ隊を追い払うために出動する。ウェンにはデモ隊の主張は理解できなかったが、年寄りを批判する威勢の良い若者をなんとなく応援したくなった。しかし、待機している彼らに軍に発砲命令が下る。ウェンは不思議に思って隣りにいたミ・カルルワに「撃つってなにを?」と尋ねた。 「空じゃないか? ほら、祭りのはじまりみたいに」 「ああ、祭りか。たしかに祭りみたいだな」 と、突然空を覆うほど大きな鴆(ちん)鳥にようなものがあらわれ、民衆の体を切り裂く。デモ隊も軍も逃げ惑って崩壊し、ウェンは鳥に腕を跳ね飛ばされる。 後でわかったことだが、この鳥は軍の新兵器であった。その兵器によって受けた傷は一見きれいであるが、じわじわと腐る。腐敗を止めるには政府の提供する治療と年に一度の輸血を受けなければならな
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