「正月は冥途の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」 と詠んだのは一休禅師だったろうか。 年の初めから人の死について書くのもどうかと思うが、自分の中で抱えていたものをようやく言葉にできるようになった。 だから文章に起こしてみることにした。 これから記すのは一年と少し前、たった四十歳で亡くなった義姉の話だ。 曇天の下に連なった葬列の様子を、今でも鮮明に思い出す。 それは病の発覚から、わずか八か月後の出来事だった。 ※※ 当時、義姉は兄とラスベガスに住んでいた。 年末が近くなり、体調不良を訴えて米国で診察を受けようとする。 だけど、米国の医療制度はどうやら崩壊寸前のようで、高額な医療費をふっかけられたり、そもそも診察の予約が取れなかったり、色々とうまくいかないようだった。 そこで年末の里帰りのタイミングで、日本で診察を受けるという話になった。 同じタイミングで帰省した僕は義姉と顔を合わせた