オメガ、ロレックス、ブルガリ、カルティエ…。ひと昔前までは、若手サラリーマンでもそんな高級ブランドの腕時計を持っていることが珍しくなかった。それどころか、「もっと上のランクの腕時計をつけたい!」という人がゴロゴロいて、それが働くモチベーションにもなっていた。しかし最近の若者たちから、「自分も高級腕時計が欲しい」という声はあまり聞かれない。携帯電話の登場によって、腕時計をつけない人が増えたとはいえ、“デキる大人”の象徴でもあった高級腕時計への憧れさえもなくなってしまったのだろうか。 『恋愛しない若者たち ~コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー21)を上梓したばかりのマーケティングライターの牛窪恵さんは、ライフスタイルの多様化により恋愛や結婚の価値が低下または変質したと同書で指摘するが、高級腕時計を欲しがる人が減ったのも同じ理由からだという。 「90年代半ば、渋谷の109前で定