2019年1月、浜松市の鈴木康友市長は、上水道へのコンセッションの導入延期を表明した。同市は、国が推進する水道コンセッションのトップランナー的存在だっただけに、そのニュースは大きな話題となった。鈴木市長は「市民の皆さまのご理解が進んでいないと感じています。また、国民全体としても理解が進んでおらず、現時点では導入を進めていくのは困難な状況であると判断しました」とコメントを発表した。 水道コンセッションに反対する根拠としてよく挙げられるのが、海外の「再公営化」のケースだ。「先行する海外では失敗しているではないか」というわけだ。そして、水道を「再公営化」した例としてよく言及されるのがフランス・パリ市の取り組みである。 しかし、民間を全面排除したかのようにも受け取れる「再公営化」という言葉はミスリードを誘う――。そう警鐘を鳴らすのは、日本政策投資銀行地域企画部担当部長の足立慎一郎氏だ。2018年に