自治体が求める大規模開発をとるか、それとも住民が求める街並みをとるか。東京・千代田区の都市計画案をめぐる対立が、想定外の「場外戦」にまで発展している。 「都市計画案の中身について、十分な議論がなされたとは思えない。このままでは地権者と周辺住民との対立構造ができてしまう」。2023年3月13日、東京都千代田区の区役所で開催された都市計画案を審議する場で、審議会メンバーは語気を強めた。 審議会メンバーがやり玉に挙げたのは、千代田区の二番町で日本テレビホールディングス(HD)が進めようとしている旧本社跡地でのビル開発だ。2015年12月に準備会が発足、2018年3月にまちづくり協議会が設立され、都市計画案の協議が進められた。 当初、千代田区は2023年3月30日の審議会で地区計画の変更の決定、2025年の着工を目指していた。ところが、同日の審議会では「審議のために必要な情報や議論がまだ不十分」と