若い頃、「ねぎを刻む」という 江國香織の短編小説が好きだった。 ふとおしよせてくる孤独な夜に、 こまかくこまかくねぎを刻む話。 泣きながら、一心不乱にねぎを刻む。 日曜日、新タマネギを切りながら泣けてきた。 目にしみたわけではなく、 哀しかったわけでもなく、 孤独がおしよせてきたわけでもないのに。 泣きながら、切った新タマネギを鍋に放り込み、 味噌汁をつくっていると、 熱をだして寝こんでいた娘が のそのそとやってきた。 娘は不思議そうに私をみて、 「ママなんで泣いてるの?」 ときいてくる。 「あぁ、玉ネギ切っててん」 「目にしみたん?」 「そうそう」 「。。。ねぇ、しんどいのなおったよ」 ……… 強いなぁ、娘。 そして優しい。。。 まだ熱っぽい顔してるくせに。 私はここのところ続いていた ひどいめまいは減ってきたけど、 ずっと船酔いしてるみたいに気分がわるい。 そのくせ、食べるとちょっと元