天冥の標第一部からここまで、撒かれてきた種がここに来て一斉に芽吹きはじめた──。 天冥の標が出て最初に書かれた時系列までようやく辿り着き、別側面から描いてみせたPART1だが、「その先」が書かれるのがこのPART2になる。もはやことここに至ってネタバレ無しでレビューを書くような真似はしないが(もし未読でこのレビューを読んでいる人間がいるならこの記事を読んでくるが良い⇒全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする - 基本読書)今回も読んでいて魂が震えた。イサリの決断と苦悩、ラバーズが模索し続けた「新たなる道」、変容し、多様化しつつある「ヒト」とはいったいなんなのかという問いかけ、そして何より理性でもって痛みを伴う決断をくだすことのできるリーダーとなったエランカという一人の人間──。 一巻から丹念に撒かれてきた種はここにきてその真価を発揮しつつある。中でもやはり特別なのは、作中の主要人物