第二部とSFの魅力について『三体』第一部は、簡単に要約すると、「遠い宇宙から攻撃的異星文明(三体世界)が地球に攻めてくることが判明! しかも人類文明を圧倒する科学力を持っていて、人類ははたしてどう対抗すればいいのか!?」という、古来より語られてきたシンプルな話である。 地球規模の危機に科学の力で立ち向かう小松左京の作品群のような王道のSFスタイルであり、たとえこの『三体』が初SFだったとしても、特に問題なく入り込むことができるはずだ。とはいえ、そこはやはりSF、それも超ド級のスケールを持ったSFなので、朝起きて電車に乗って会社に行く──といった日常の風景よりは、かなり想像力を飛躍させる準備をする必要がある。特に、文革の話からはじまって現代に近い時代と科学レベルで話が展開していた第一部とは異なり、この第二部からはSFとしてのギアも上がり始めているからだ。 この第二部では、いよいよ人類は地球に