車両の内装、外装に木材を使い、乗降ドアからは「煙」が出る――。JR九州では前代未聞の列車を造り、観光の目玉となっている。常識を覆す、数々の取り組みを支えたのが、試行錯誤を経て生み出した車両製造技術だ。 鉄道業界の「異端児」――。 九州旅客鉄道(JR九州)は長らく、こう呼ばれてきた。 その理由は、同社が運行する数々の観光列車にある。ガラス張りの展望室を備える「SL人吉」(鹿児島本線・肥薩線の熊本駅~人吉駅)や、木のボールプールで遊べる「あそぼーい!」(豊肥本線の熊本駅~宮地駅)...。 九州各地を走る観光列車は現在、計9種類。これらのデザインは、ホテルや商業施設、駅舎、列車など幅広く手がけるドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治代表が担当している。「最新鋭の技術と最高に贅沢な空間を組み合わせれば、どこにもないオンリーワンの観光列車を造ることができる」と水戸岡氏は説明する。 一見するとデザインばかり