→紀伊國屋ウェブストアで購入 「90年代における日本の若者の変容を振り返る」 本書は、1990年代を中心とする若者文化における変容について、実証的な質問紙調査の結果に基づいて論じたものである。 第1章で編者の浅野智彦も記しているように、1990年代は「失われた10年」とも呼ばれていた。主としてそれは、バブル期に至る1980年代までと比べて、著しい経済的な停滞が見られたことによるものであった。 また別な言い方をすれば、それは、多くの先進社会が辿る成熟社会化の波が訪れつつあったということでもあったのだろう。近代化が急速に進められた時期(前期近代)を過ぎ、この社会の発展という点で言えば、もはやそれほど大きくは変わらない、どちらかといえば安定した時期(後期近代)が訪れつつあったということだろう。 こうした点は、2010年代を迎えた今日においてなお、その思いを強くするところだ。しかしその一方で、後期