脂肪酸代謝では、炭素数20の脂肪酸で二重結合を4個もつアラキドン酸と、二重結合を5個もつエイコサペンタエン酸(EPA)からさまざまな生理活性物質が生成されてくる。この生理活性物質をエイコサノイド(eicosanoids)と呼び、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンが含まれる。アラキドン酸(n-6系)に由来するエイコサノイドとエイコサペンタエン酸(EPA、n-3系)由来の主なエイコサノイドとその作用を表1ならびに代謝マップを図9に示す。 n-6系脂肪酸に由来するエイコサノイドは、炎症の過程において血管透過性の亢進、好中球の誘導と活性化、炎症性サイトカイン生成促進などを惹起し、炎症促進的に作用する。これに対しn-3系脂肪酸から産生されるエイコサノイドは、抗炎症作用、血管保護作用、炎症性サイトカイン生成の抑制作用など、炎症抑制的に働く。その分子レベルでの作用機構は、n-3系脂肪