藁にもすがる思い スクールカウンセラーから紹介を受けた家庭教師 – リズさん – は、私の母親と同年代の恰幅の良い女性でした。数年前まで小学校の教師をしていたと言い、今は他に受け持っている生徒もいないので、こちらの都合に合わせて個人授業を行なえるとのことでした。 カウンセラーからは、顔合わせをして気に入らなければ断っても構わないと言われていましたが、彼女の物腰の柔らかさと、のんびりした雰囲気から、この人なら消沈している娘を受け止めてくれそうだと考え、家庭教師をお願いすることにしました。まさに藁にもすがる思いです。 正直、この時の私は、妻と娘たちを現地に呼び寄せたことを後悔していました。日本の小学校では、仲の良い友達にも恵まれ、学校に行きたくないなど一度も口にしなかった娘でした。あのまま日本で生活を続けていたら、娘の屈託のない笑顔が消えることも無かったでしょう。 家族皆で海外で生活するのは、