中立地でのワールドカップ(W杯)ベスト16という過去最高成績を残した2010年南アフリカ大会の日本代表。6月14日のカメルーン戦の勝利に始まる快進撃は日本中の人々を熱狂させ、岡田武史監督や選手たちも大きな拍手喝采(かっさい)を浴びた。確かに彼らが成し遂げた結果、奮闘ぶりは賞賛に値する。しかし、それだけで岡田ジャパンの2年7カ月を終わらせてしまっていいのかという疑問はどうしても残る。 岡田監督は「前線から激しくプレスにいき、攻守の切り替えを早くしてゴールに向かう」という攻撃的なスタイルを標ぼう。そのために、07年12月の就任時から多くの時間を費やしてきた。昨年6月にW杯アジア最終予選を突破し、9月にオランダに敗れた際にも「90分間前からプレスを掛け続けるしかない」「攻撃の迫力が足りない」と繰り返し、弱点を補おうとした。ところが、本大会の日本はプレスを掛ける位置を大きく下げた。相手に60%以