「希望の仕事が見つかるまでの繋ぎでいいや」という春らしい浮ついた気持ち。求職活動をしているという家族へのアッピール。暇つぶしに冷やかし。酒代。そういう諸々の理由からアルバイトの面接を受けてきた。時給1,000円+歩合給の新規開発営業の仕事の面接である。平時においては他人様から忌避されるような業種、大人の事情でここではSS業と表記させていただくが、そこで薄給のために死神や悪魔やカラスのごとく人の死の周りをクンクンと嗅ぎまわる仕事である。面接会場の本社社屋はSS業らしくモノトーンとストーンな感じで統一され、墓地や寺院のような辛気臭い空気に満ちていて、会社を怨念退職してからの、暗く、つらいことばかりの3ヵ月を僕に思い出させた。通夜のような静かな廊下で面接の順番を待っていると、部屋の中から若者らしい張りのある声が聞こえてきた。「御社の企業理念と可能性に共感し、自分自身のチカラを試したいと思い志望し