5月18日は韓国の人々にとって特別な日である。それは、「光州事件」の始まりの日だからだ。なぜこの日、そして光州事件が特別であり続けるのだろうかか。一本の映画をもとに考える(本記事は2018年に配信された記事の再配信です)。 2017年8月、韓国で一本の映画が封切られた。公開初週の観客動員数は436万、韓国映画歴代3位の大ヒットだった。『タクシー運転手 約束は海を越えて』という作品である。1980年の「光州事件」を描いた映画で、日本でもロングヒットを続けている。 光州事件は、日本ではそれほど馴染みがない出来事かもしれない。 1979年10月に朴正熙大統領が暗殺され、18年余に及んだ軍事独裁政権が終焉すると、韓国ではそれまで抑圧されてきた民主化への気運が蠢動し始める。 その熱気は、80年春、新学期を迎えた大学街で一気に沸騰する。いわゆる「ソウルの春」である。ことに韓国南西部の都市・光州での動き