出版界ではしばしば「本が売れない」という会話がされている。紙の本の推定販売金額を見てみると、もっとも高かったのが1996(平成8)年の2兆6564億円。2018(平成30)年は1兆5400億円(出版科学研究所調べ)、ピーク時の約半分にまで落ち込んでいる。 しかし「本が売れない」と「マンガが売れない」は同じではない。近年、電子書籍が話題になっており、多くの人がスマホなどで電子コミックを読んでいるのを見かけるが、その売り上げを合わせると、なんとマンガはピーク時の1995年のとき以上に売れているのである。 本は、紙媒体と電子書籍、2つの市場に大別される。電子で新聞や雑誌、書籍などを読むという考えはインターネットが普及する以前から存在していたが、電子書籍元年とされているのは、アップルの「iPad」が発売された2010(平成22)年。この年から、出版社のほかに、印刷会社や家電メーカー、取次代理店など
