『うたかたの記』(うたかたのき)は、森鷗外の短編小説。1890年(明治23年)8月、雑誌『しがらみ草紙』に発表。1892年(明治25年)7月、作品集『美奈和集(水沫集)』に『舞姫』『文づかひ』とともに収録。2作品とともに森鴎外のドイツ三部作の一部を為す。 ドイツ・バイエルン王国の首都ミュンヘン。日本画学生の巨勢は、六年前にミュンヘンで出会った花売り娘のマリイ・ハンスルと再会する。巨勢はマリイの面影が忘れられず、自作のローレライのモデルとしていた。マリイはいきなり巨勢に接吻する。驚く巨勢に、同行していた友人のエキステルが彼女は美術学校のモデルだが狂っていると教える。 巨勢は、自分のアトリエにマリイを呼び彼女への熱い思いを伝える。話をする内に、マリイには高名な画家の父スタインバハと彼女と同名の美しい母親がいたことがわかる。母はバイエルン国王ルードヴィヒ2世に懸想されていた。父は国王の毒牙から妻
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