農政アナリストの山下一仁さんは、昨年までだったか、私が毎朝聴くNHKラジオで決まった枠をもって農政関連の話をしていた。その切れ味の鋭さから氏の意見をその後もおりを触れて傾聴してきたが、今年の年頭、本書「農協の大罪」(参照)が出て少し驚いた。著作は専門的な内容に限定されるとなんとなく思っていたのに、一般向けの書籍でわかりやすうえ、過激であったことだ。 「過激」という表現は正確ではない。高校生でもわかることが普通に理路整然と書かれているに過ぎない。農協がいかに日本の農業を滅ぼしたか、すっきりわかる。つまり、それが「過激」であると言うことになる。フォーサイト9月号記事「どこへ言った民主党『農政の理念』」で知ったのだが、本書は全国農業協同組合中央会(全中:JA)の「禁書」に指定されたらしい。妙に納得した。 日本という国の空気を多少なり知った大人なら、農協批判が逆鱗に触れる話題であることはわかる。以
JRや私鉄各社が新たに農業事業を手がけるケースが相次いでいる。国産の食材への関心が強まるなかで、将来の事業拡大をにらんだ動きといえそうだ。 JR東海のグループ会社で、スキー場「チャオ御岳スノーリゾート」(岐阜県高山市)を運営する飛騨森林都市企画は2009年度から、農業事業に参入した。高山市内に約5300平方メートルの農地を借り受けて、地元特産のトウモロコシで、糖度が高い「タカネコーン」の栽培に取り組んでいる。9月上旬からは初めての収穫を迎え、飛騨森林のホームページで予約販売を受け付けている。価格は8本入りで2500円。 JR東海では愛知県常滑市でも農業事業を展開。化学合成農薬を使わずに、レタスやトマトなどを通年で生産する。 同社は、JR東海フードサービス、JR東海ホテルズなど、飲食関連事業を行う会社をグループ会社として抱えており、一定量の野菜を使用している。食の安全に対する関心
【ラクイラ(イタリア中部)=松井学】主要国(G8)首脳会議(ラクイラ・サミット)は8日公表した首脳宣言で、農業と食糧安全保障を「優先課題の核心」に挙げた。食糧増産が必要だと訴える一方で、先進国や新興国が海外の途上国で農地を確保し、自国向けに作物栽培しようとする「農地収奪」の動きに強い懸念を示した。 貧しい途上国側に犠牲を強いかねない農地収奪の動きに対しては新たな植民地主義を生むと、国連食糧農業機関(FAO)も警告している。サミット首脳宣言は、先進・新興国の政府や企業が途上国の農地を購入したり、長期の土地貸与契約を結ぶ例などを想定し、こうした農業投資に倫理を求め、商談上の原則づくりを促した。 日本政府は、9月の国連総会の時期に「原則づくりの議論を日本が主導したい」(政府同行筋)との考え。総合商社の海外投資を促し、日本の食糧安保につなげるためだ。 豊かな国が途上国の農地を取得する動きは中東産油
価格が高いにもかかわらず、これだけの利用客を集めて売り上げを伸ばすことができているのはなぜか。その理由は、大きく2つある。 1つは、価格を高めに設定していること自体にある。値崩れを起こすことなく高い価格を維持できているから、利用客の伸びに応じて売り上げを増やすことが可能なのだ。 理由のもう1つは、「ここでしか買えない」と利用客が思うほど品質の良い農産物を取り揃えていることだ。だから、価格が多少高くても、質の良い製品やサービスに購買意欲を示す「品質フォーカス層」の消費者が購入してくれる。 高い価格の維持と品質の良い農産物の供給──。この2つを両立させているのが、みずほの村市場を運営する農業法人のみずほが設けた独自のルールだ。 独自の参入ルールで値崩れを防ぐ そのルールとは、「後から参入する農家は、先に参入していた農家と同じか、それ以上の価格をつけなければならない」というものだ。 例えば、ダイ
畑にまくのは下水のような汚水、未発酵の人糞肥料と大量の農薬散布、小作人と化した農民の惨状――。前回のインタビュー、「悲鳴を上げる中国農業」で中国農業の病理を語った愛知大学の高橋五郎教授。今回はさらに話を進めて、中国農業の持続可能性や食卓の未来を大胆に語った。 【前回のあらすじ】 中国農業が悲鳴を上げている。土と水の汚染、担い手である農民の疲弊は、国内消費量の20%に当たる野菜を中国からの輸入に頼る日本にとって他人事ではない。『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)を上梓した愛知大学の高橋五郎教授は徹底した農村調査で中国農業の病理を浮き彫りにしている。現地の農民と語り、土や水に触れる異色の学者に中国農業の現状を聞いた。詳細はこちら。 ―― 前回のインタビュー、「悲鳴を上げる中国農業」はかなりの反響でした。 高橋 そのようですね。知らない人からも手紙がきました。 ―― それだけ、多くの日本
中国農業が悲鳴を上げている。土と水の汚染、担い手である農民の疲弊は、国内消費量の20%に当たる野菜を中国からの輸入に頼る日本にとって他人事ではない。 『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)を上梓した愛知大学の高橋五郎教授は徹底した農村調査で中国農業の病理を浮き彫りにしている。現地の農民と語り、土や水に触れる異色の学者に中国農業の現状を聞いた。 ―― 残留農薬をはじめ、中国の農産物の危険性を指摘するものは少なくありませんが、その中でも『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)は、農村調査に基づく徹底したルポルタージュという点でかなり趣が異なります。中国農業の危険性に関するニュースを理解するためにも、先生が見てきたお話を伺えないでしょうか。 「おふくろの味」ではなく「袋の味」が幅を利かす日本 高橋五郎(たかはし・ごろう)氏 1948年新潟県生まれ。愛知大学法経学部卒、千葉大学大学院博士
土を使わず、農薬なしで育った野菜がスーパーに並ぶようになった。生産しているのは、食品会社や鉄鋼メーカーなどが運営している「植物工場」。まだ栽培できる品種は少なく値段も高いが、天候に左右されず安定的に生産できるメリットもある。「工場育ち」の野菜が食卓の主役になる日は来るのだろうか--。【工藤昭久、坂巻士朗】 虫食いのない青々としたレタスが一面に広がる。よく眺めると、レタスはぷかぷかとプールの上に浮かんでいる。オゾンで殺菌した養液が土の役目を果たしているのだ。 茨城県土浦市にあるガラス張りの植物工場。病原菌の侵入を防ぐため、工場に入るには白衣に帽子、長靴を身につけ、手を洗わなければならない。 徹底した衛生管理で農薬は不要。コンピューター制御で温度や湿度、水温、日照時間を最適に保つため、天候に左右されず、安定した品質の野菜が作れる。生育日数は露地栽培の約半分で、年間最大28回も収穫ができる。 経
ドイツ 遺伝子組換トウモロコシ「MON810」の耕作禁止を決定 【自然環境 生物多様性】 【掲載日】2009.04.23 【情報源】ドイツ/2009.04.14 発表 ドイツ連邦農業省のアイグナー大臣は、モンサント社の遺伝子組換トウモロコシ「MON810」を、今年の耕作シーズンから耕作禁止とすることを決定。連邦環境省は、この決定を歓迎している。 1998年、旧EU法令に基づき、「MON810」の耕作許可が出されたが、この許可の有効期限が切れている。同社が申請している新しいEU法に基づく新規許可では、EU全体で、今後の環境影響に関するモニタリングについて決定しなければならない。 ドイツ連邦環境庁の評価では、ハチ、チョウ、テントウムシや特定の水生生物に対する危険性が指摘されている。この指摘は、モニタリングで調査されることが求められていた。 連邦消費者保護・食糧安全庁との自主協定に基づいてモンサ
人気記事 1 バルミューダ決算、新型「Mac mini」など--週間人気記事をナナメ読み(8月9日~8月15日) 2024年08月16日 2 FCNTの新スマホ「arrows We2/We2 Plus」--価格や販路の違い等を写真で確認 2024年08月16日 3 電機大手、エアコン好調で売上増--今後の業績を左右するのは「生成AI」と「データセンター」 2024年08月16日 4 Instagramで「既読」を付けずにDMを閲覧する方法 2024年03月11日 5 Meta、「Meta Quest HDMI Link」を発表--VR上にスクリーンを表示 2024年08月16日 6 携帯4社決算を読み解く--減益のドコモ、契約者急増の楽天モバイルが抱える課題 2024年08月15日 7 グーグル「Pixel 9 Pro Fold」、初代モデルからの進化ぶりをチェック 2024年08月16日
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く