四方田犬彦によるニューヨークへの探訪記である『ニューヨークより不思議』を読んだ。元々この著作は、四方田の一九八七年のニューヨーク滞在を元に『ストレンジャー・ザン・ニューヨーク』という書物の形にまとめられていたのが、今年二〇一五年のニューヨーク滞在に関することを増補した上で、総題は『ニューヨークより不思議』と改められた上で出版されることになった。結果として、一九八七年のことが第一部「ストレンジャー・ザン・ニューヨーク」、二〇一五年のことが第二部「ニューヨークより不思議」、という二部構成の書物となっている。 私自身は今回初めてこの書物を手に取り通読することになったのだが、むしろ後から書き足された第二部の存在によって興味深く読むことができた。ということであるので、この書物の感想を少しまとめて書いてみたい。 英語と日本語に切り替えられつつも結局は各部のタイトルでもあり総題でもあるという形で何度