きわめて刺激的な論考を読んだ。タイトルが主題を示している。ユダヤ人と近代美術、しかしこれはきわめてデリケートなテーマでもある。本書の中に美術史家エルンスト・ゴンブリッチの1997年の時点における発言が紹介されている。96年にロンドンで開かれた「オーストリア・ユダヤ文化祭」において「世紀末ウィーンの造形芸術におけるユダヤの影響」という講演を依頼されたゴンブリッチは、このような講演のテーマ自体が問題であることを表明するために講演を引き受け、次のように述べたという。「ユダヤ文化という概念は、昔も、今も、ヒトラーとその前身者たちと、その後継者たちによってでっちあげられたものだと私は考えています。」一組の美術を一つの国家や民族と結びつけることは文化本質主義につながる危険性を秘めている。実際にそのような例を私たちは第四章で言及される悪名高い「退廃芸術展」に認めることができる。かかるアポリアを回避するた
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