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精神医療と司法に関するhystericgrammarのブックマーク (2)

  • 他者性の問題 82 一部改稿した

    DIDの裁判 最近の動向 再び上原氏の2020年の論文に戻ってみる。そこで上原氏が中心的に論じているのが、平成31年3月の覚せい剤取締法違反事件である。この裁判ではDIDを有する被告人は覚せい剤使用の罪で執行猶予中に、別人格状態で再び使用してしまったという。そして原級判決では被告人に完全責任能力を認めた(つまり全面的に責任を負うべきであるという判断がなされた)が、控訴審では被告人が別人格状態で覚せい剤を使用したために、心神耗弱状態であったと認定したのである。 ちなみにDIDにおいて責任能力を認めるか否かという議論には、精神医学的な見地が大きく関係している可能性がある。そして裁判においても、精神科医による精神鑑定の見解をできるだけ尊重するという立場が最高裁において下されているという(上原、2020)。この上原氏の紹介する覚せい剤使用のケースではそこで私的鑑定を報告した精神科医の意見が尊重され

  • 他者性の問題 81 司法精神医学のテーマも汲みつくせない

    DIDにおいて刑事責任能力が問われる状況のプロトタイプ さてここからが題である。日の裁判においてDIDの当事者の責任能力はどのように考えられ、扱われているのだろうか? 上原氏の解説によれば、DIDの責任能力が問われる判例は増加傾向にあるようだ。わが国でDID を認めたうえで刑事責任を判断したものとしては、現時点(2020年)で入手可能な十三件のうち半数以上が、過去五年以内に出されたものであるという(上原、2020)。そしてそこにみられる傾向として、DIDが被告人の刑事責任能力自体に影響を与えるものと判断された例が出てきている。 このような傾向は私は基的には好ましい方向に向かっていると考える。少なくとも従来はDIDにおいては完全責任能力が認められるという方針で一貫していた。そしてさらにそれ以前は被告がDIDに罹患していたということ自体が認められていなかった可能性がある。しかしDIDの責

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