砂漠の教室 I 砂漠の教室はイスラエルはナターニャという土地にある。わたしは九月十二日に砂漠の教室に到着した。こんな不思議な教室に身をおくのははじめての体験だ。砂漠の教室へはヘブライ語を習いにやってきたのだが、ヘブライ語を習うということをめぐって、カンカン照りの空の下の教室では、いろいろな国からきた生徒たちが出会い、文字どおりぶつかり合うことすらあるのだが、そこにはすでに、それなりのリズムが生まれつつあることもたしかだ。あらゆる年齢の、さまざまな背景の生徒たちがいるが、しかしここは世界市民休暇村でもないし、ヘルスクラブでもなく、生徒たちはヘブライ語を習うということをめぐって共同生活を送っている。いうまでもなく、生徒の多数はユダヤ人だが、そうでない生徒もかなりいる。「わたしはヘブライ語を学んでいる」と生徒たちがヘブライ語でいうこの教室は、おそらくわたしにとっては、「ヘブライ語を学んでいる」と