神社や寺院境内の一隅に、あるいは墓地の一角に、または集落のはずれに、羽黒山・月山・湯殿山という山の名を刻んだ石碑が並んでいる光景に出会うことは、千葉県ではめずらしくありません。土を盛りあげて作られた塚の上に、江戸時代の小ぶりなものから平成の年号の大きなものまで、10基を超える石碑が立ち並ぶ様子を不思議に感じたり、厳かな印象を持たれた方も多いのではないでしょうか。 羽黒山・月山・湯殿山とは、山形県のほぼ中央に位置する山々で、総称して出羽三山と呼ばれています。山岳信仰の霊場として今も多くの参拝者を集めていますが、千葉県は全国的に見てもとりわけ出羽三山への信仰が盛んな地域として知られており、「男は一生に一度は三山(サンヤマ)に行くもの」という意識が根強くあります。サンヤマといえば千葉県では出羽三山のことで、サンヤマへの登拝を「奥州参り」といいます。出羽三山への登拝は、山に集まる先祖の霊を供養する