人間は、環境をより良い方向に変えていこうと工夫することで独自の進化を遂げてきた生物だ。たしかに一般に生物は周囲の環境を変化させ、そこにニッチを見出して進化してきた。しかし、ほとんどはそれを能動的に行ってきたわけではなく、その生物の存在が結果的に環境を変化させたに過ぎない。人間はそうではない。遺伝子に働く淘汰圧以上の速度で自分自身を変化させ、環境に働きかけてきた。その圧倒的なスピードは、大脳皮質の働きによる思考と言葉による情報の伝達によるところが大きい(関連:なぜ坊主は妻帯しないのか)。 だから、思考と議論は人間が人間であることのアイデンティティだ。人類をここまで連れてきたのは、考えることと言葉を使うことだ。言葉によって思想を組み立て、それを伝え、そして社会集団としてライフスタイルを変革することだ。そんなふうにして新たな環境に進出し、また、新たな環境を創出して、人類は世界中に広まった。ま、地